全ての雌犬は子宮蓄膿症の心配がある

犬の子宮蓄膿症は、高齢犬にとても多い病気です。

不妊手術を行っていない犬の4頭に1頭の割合で罹ると言われています。













雌犬特有の病気【犬の子宮蓄膿症】

子宮蓄膿症は、メス特有の病気です。

大腸菌やブドウ球菌などの細菌が子宮の中に入り、炎症を起こして子宮内に膿が溜まります。

発見が遅れると、子宮破裂や敗血症や多臓器不全などの合併症を起こし、死に至る病気です。

不妊手術をしていない犬は、どの犬もなる可能性があり、生理の出血が終わってから、1~2ヵ月の間に症状が表れることが多い。

高齢犬に多く見られる病気ですが、稀に2歳未満でも罹ることがあります。

犬の子宮蓄膿症の原因

子宮蓄膿症の原因の一つは、黄体ホルモンが関係していると言われています。

生理の出血が終わってから、1~2ヵ月の間、黄体ホルモン(プロジェステロン)が分泌されます。

黄体ホルモン(プロジェステロン)が分泌されると、子宮頸管が緩み、子宮内膜は厚みを増すので、免疫力が弱まっているこの時期は細菌に感染しやすい状態が続くのです。

犬の発情は、7~9カ月の間隔で繰り返します。

小型犬は、5~7ヵ月周期で年に1~2回、大型犬は、8~12ヵ月周期で年に1回あり、その度に子宮蓄膿症になる可能性があります。

出産をしている犬なら大丈夫なのか?

出産をした犬でも、時間が経過していれば罹る可能性はあります。

ブリーダー犬のように頻繁に出産する場合は可能性は低くなりますが、まったく罹らないというわけではありません。



子宮蓄膿症の犬の症状

  • 元気がない
  • 食欲がない
  • 水をよく飲む
  • 陰部から膿が出ている(出ない場合や、犬が舐めてしまっている事もあります)
  • お腹が膨れている
  • おう吐
  • 下痢

不妊手術を行っていない場合、1つでも当てはまる症状があれば、子宮蓄膿症の可能性があります。

明確な症状がなくても、元気がない・体の調子が悪そうなど、飼い主さんが感じるちょっとした異変でも油断できません。

子宮蓄膿症は、治療が遅れると命に関わる病気です。

すぐに動物病院を受診してください。

子宮蓄膿症の診断

診断は、主にX線・超音波・血液検査を行って判断します。

X線・超音波で調べること

子宮蓄膿症の診断で確実なのが、X線と超音波検査です。

  • X線:正常な子宮は、通常X線では確認できませんが膿によって膨張して、形が見えます。
  • 超音波検査:液体が黒く映し出されるので、膿がとのくらい溜まっているかを確認できます。

血液検査で調べること

子宮蓄膿症は、進行していると肝臓や腎臓にもダメージがあることがあるので一緒に調べます。

  • 白血球の数(好中球・単球など)
  • CRPなどの炎症のマーカーの数値
  • BUN(血中尿素窒素)

腹膜炎などの合併症を併発していると、白血球の数値が上がらないことがあります。

そういった場合は、その他の検査数値や画像診断と合わせて判断します。

子宮蓄膿症の治療

子宮蓄膿症の治療は、時間との勝負です。

初期の段階であれば、様子をみる事も可能ですが、重度の場合は即治療を行わないと、死に至るおそれがあります。

外科療法

子宮蓄膿症の治療は、蓄膿している卵巣と子宮を全摘出する外科手術が第一選択になります。

早期の手術であれば、ほとんどが問題なく回復しますが、合併症を併発している場合は助からないケースもあります。

また、高齢になってから罹り易い病気なので、手術に耐えられるかも考慮しなくてはいけません。

飼い主が選択する事になるのですが、基本的に外科手術でしか治す見込みはないと考えてください。

子宮蓄膿症の手術費用

動物病院は自由診療になるので、病院によって診察料が違います。

症状によっては入院が必要なので、入院費も併せて必要です。

【検査・手術料金参考例】

  • 初診または再診料 初診1,000円~1,500円 再診500円~1,000円
  • 血液検査料 6,000~10,000円
  • X線検査 2,000円~6,000円
  • 超音波検査 1,000~4,000円
  • 全身麻酔(吸入60分あたり)10,000円~15,000円
  • 卵巣・子宮摘出 20,000円~50,000円
  • 点滴 2,000円~4,000円

入院費(1日あたり)症状によって日数が変わります

  • 小型犬 2,000円~4,000円
  • 中型犬 2,000円~4,000円
  • 大型犬 3,000円~6,000円

この他に、薬代・夜間や休日であれば夜間・休日診察料など状況に応じて加算されます。

大体、100,000円~150,000円くらいが目安です。

内科療法

内科療法は、細菌を殺す為の抗生物質、ホルモン療法の為のホルモン剤を使用して治療を行います。

外科療法と違い、特別な理由がない限り、積極的には勧められません。

例えば、下記のような場合は内科療法での治療となります。

  • 高齢で手術に耐えられない
  • 重篤な状況で手術が難しい
  • 繁殖を希望する
内科療法が勧められない理由

内科療法は、病気の進行を緩やかにしたり、一時的な回復をさせるだけで完治するわけではありません。

  1. 薬が効かない可能性がある
  2. 薬が効くまでに時間がかかる
  3. 重度の場合は、薬が効くまで待てない
  4. 副作用がある
  5. 発情期の度に再発する可能性がある

犬の子宮蓄膿症は予防ができる病気です

子宮蓄膿症は100%予防することが出来ます。

予防方法は不妊手術を行うことになります。

子宮蓄膿症の手術と不妊手術は、同じ方法で行われますが、手術でのリスクがかなり違います。

子宮蓄膿症の場合は、高齢+合併症の危険もありますが、不妊手術であれば低リスクで出来ます。

初めての発情は、早ければ生後4ヵ月~、遅ければ生後14ヵ月くらいで起こります。

繁殖を望まないなら、早めに不妊手術を行いましょう。