犬の外耳炎とは、何らかの原因で外耳道に炎症を起こす病気です。
外耳炎は酷くなると簡単には治らない、慢性化しやすい病気です。
軽度の場合は、洗浄や投薬などで治りますが、重症化すると外科的手術が必要です。
早めの治療が完治に繋がります。
目次
【犬の外耳炎】こんな症状は要注意!
犬の外耳炎が重症化すると運動障害を起こしたりします。
重症化しないためにも、愛犬の状態を把握しておきましょう。
- 耳がくさい
- 耳をよく掻く
- 頭を振る
- 頭や耳を触ると嫌がる
- 耳の内側が赤く腫れている
1つでも当てはまれば、外耳炎の可能性があります。
すぐに動物病院を受診してください。
犬外耳炎の原因と治療法
犬が外耳炎になる原因はたくさんあり、1つのことが原因になるのではなく、いろいろな条件が重なって症状がでる事が多いです。
例えば、梅雨時期やヒーターを使う冬場は、耳の中が高温多湿になり易く、外耳炎が発症しやすい状態です。
冬場にコタツに入る犬は特に注意が必要です。
どの犬種でもなる可能性がある病気ですが、耳が垂れている犬や耳の中に毛が多く生えている犬は、特に注意しましょう。
ダニが原因の犬外耳炎
犬の外耳炎の10%がダニが原因です。
耳ダニ(ミミヒゼンダニ)は、0.2㎜くらいの大きさで、耳の中に寄生します。
寄生されると激しい痒みを引き起こし、黒いねっとりとした耳垢が溜まるのが特徴です。
耳ダニの寄生は、感染している犬との接触で移るので、多頭飼いや子犬に多く見られます。
ダニに有効な治療法
ダニの餌となる耳垢を取り除き、洗浄します。
耳の状態によって、駆除薬を直接耳に入れるか、飲み薬にするかを決めます。
主な駆除薬
イベルメクチン・レボリューション
カビ(マラセチア)が原因の犬外耳炎
マラセチアはカビの一種である酵母菌(酵母様真菌)で、体中にある常在菌の一つです。
脂分や湿気を好み、好条件の場所で増殖をしていきます。
独特な臭いがあるのが特徴で、味噌のような匂いと例えられることがあります。
酵母菌は「パン・酒・味噌・醤油」などの発酵食品の元となる菌なので、味噌に似た臭いというのも頷けます。
アレルギー体質の犬は、マラセチアが増殖しやすい為、マラセチア性外耳炎を引き起こしやくなります。
カビに有効な治療法
耳ダニの場合と同じで、洗浄と投薬を行いますが、使う薬の種類が違います。
抗生物質・抗真菌剤でカビ(マラセチア)を減らします。
主な駆除薬
クロトリマゾール・ミコナゾール
アレルギーが原因の犬外耳炎
意外と知られていませんが、何らかアレルギーが原因で発症することがあります。
食べ物・花粉・ハウスダスト、その他アトピーも原因の一つです。
アレルギーに有効な治療法
原因となるアレルギーを調べて、排除していきます。
アレルギー物質を排除してもすぐに良くなるわけではなく、長期的な治療が必要となります。
食物アレルギーの場合は、食事からアレルゲンを取り除く事が大事です。
犬の外耳炎の治療費はいくら?
軽度の犬の外耳炎であれば早期の完治も望めますが、通常1カ月くらいは治療が必要だと思ってください。
耳の状態が落ち着くまでは、毎週洗浄や投薬を行います。
見た目で症状がなくなったと感じても、原因となるダニやカビが残っていたら、再発する恐れがあるので、最後までしっかり治療することが重要です。
犬外耳炎の治療費
動物病院は自由診療なので、治療費は各病院で違います。
大まかに上げると、次の様になります。(小動物診療料金の実態検査結果参照)
【初診の場合】
初診料 1,000円~1,500円
耳の洗浄 1,000円~1,500円
検査料 500~1,000円
内服薬 2,000~3,000円
点耳薬 1,500~2,500円
計 約7,000円くらい
【再診の場合】
再診料 500円~1,000円
耳の洗浄 1,000円~1,500円
※投薬が必要な場合は、薬代がプラスされます
計 約2,000円くらい
※詳しい金額は、動物病院へ問い合わせてください。
飼い主ができる犬外耳炎ケアと予防
犬の外耳炎は、早期発見すれば処置が簡単です。
日頃から、愛犬の様子をよく見ておきましょう。
あとは、日々のケアが大切です。
定期的な耳掃除や、シャンプーや水遊び後のふき取りは必ず行ってください。
飼い主が行う犬の耳掃除
犬の耳は、かなりデリケートなので絶対に擦らないようにしましょう。
赤身があったり、炎症がすでに起きている場合は、勝手に掃除せず獣医師の指示に従ってください。
犬の耳の外側
犬の耳介(耳の中の見える部分)は、コットンやカット綿とイヤークリーナーで掃除します。
乾いた物で拭くより、濡れた状態で拭いた方が傷が付きにくく、掃除がしやすいです。
- コットンにイヤークリーナーを染み込ませます
- やさしく拭き取り、乾いたコットンで水分を取り除きます
耳垢が取れにくいときは、イヤークリーナーを多めにして耳垢を柔らかくしてから拭き取りましょう。
※イヤークリーナーが無い場合は、コットンをぬるま湯に浸した物で代用できます。
犬の耳の中
犬の耳の中は、綿棒は使いません。
耳垢を奥に押し込んだり、力の入れすぎで傷ができる恐れがあります。
出来るだけイヤークリーナーで行うようにしてください。
- イヤークリーナーを耳から溢れないギリギリまで、直接入れます
- 耳の根元をクチュクチュ音が出るように軽く揉んで汚れを浮かします
- 汚れが出てきたら、犬にブルブルさせて耳の中からイヤークリーナーを出します
- 耳に残っている耳垢をコットンで取り、耳介に付いている水分を拭き取ります
この方法で行うと、ブルブルした時に汚れが飛ぶので気を付けましょう。
※作業の途中で、ブルブルされると困るので、顔を抑えてもらいながら行うと楽に出来ます
耳の中の毛は、病院や美容室で抜いてもらいましょう。
飼い主でも抜けますが、無理に引っ張ると痛みを生じるので、なるべくプロに任せた方が安心です。
イヤークリーナーの注意点
イヤークリーナーは、いろいろな種類が市販されています。
買うときは、成分に注意してください。
エチルアルコール・その他のアルコール類や消毒成分が入っている物は、使用しないようにしましょう。
これらは刺激が強く、脂分まで取り除いてしまい、かえって皮膚を傷めてしまいます。