犬の心臓病のイメージ(モデル:イタリアン・グレイハウンド)

犬の病気での死因1位のガンに続いて、2位に上がるのが「心臓病」になります。

先天性の心臓病は5%程度で、心臓病のほとんどが、後天的に罹ったものです。

成犬の10~15%、高齢犬では30%以上が心臓病を患っていると言われています。













犬の心臓病の症状について

心臓は、血管から全身に血液を送るポンプのような役割をします。

心臓に異常が起きると、筋肉や弁の動きが悪くなり、全身に血液を送れなくなります。

それをカバーしようと、いつも以上に心臓が働き、その結果心臓内に血液が溜まり、大きくなっていくのです。

外見での初期症状がほとんどなく、咳などの症状が出てから分かる事が多い。

心臓の音をチェックすることで早期発見が可能なので、定期的に検査を行うと安心です。

犬の心臓病「僧帽弁閉鎖不全症」

犬の心臓病で一番多いのが、僧帽弁閉鎖不全症(そうぼうべんへいさふぜんしょう)です。

特に、小型・中型犬が罹る心臓病の約70%が僧房弁閉鎖不全症になります。

心臓の左心房と左心室の間にある「僧帽弁」が閉じなくなる病気です。

通常血液は、肺⇒左心房⇒左心室⇒全身と流れますが、僧房弁閉鎖不全症の場合、左心室から左心房にも血液が流れ、血液が逆流します。

そのため、全身に送る血液が足りなくなります。

僧帽弁閉鎖不全症は、はっきりした原因が分かっていない為、防ぐことが難しいです。

【罹りやすい犬】
マルチーズ・チワワ・トイプードル・キャバリア・ミニチュアダックスフンド・ヨークシャテリア

僧帽弁閉鎖不全症ステージについて

犬の僧帽弁閉鎖不全症は、アメリカ獣医内科学会(ACVIM)が定めるガイドラインによって、重症度をステージ分類されています。

ステージを戻ることはできませんが、投薬や治療によってステージを維持することが可能です。

僧帽弁閉鎖不全症ステージA

現時点で心臓の雑音がなく、症状はみられない。

将来、心臓の疾患になる可能性がある好発種は、定期的に心臓の検診を受けて早期発見するようにする。

僧帽弁閉鎖不全症ステージB1

心臓の雑音があるが、症状はみられない。

X線検査(レントゲン)・超音波検査(エコー)でも心臓の拡大がみられない。

僧帽弁閉鎖不全症の初期段階です。

積極的な投薬治療は必要なく、体重管理や運動を制限するなどして、経過観察を行う。

定期的に心臓の検診が必要です。

僧帽弁閉鎖不全症ステージB2

心臓に雑音があるが、症状はみられない。

X線検査(レントゲン)・超音波検査(エコー)で心臓の拡大がみられる。

投薬治療を行う。

僧帽弁閉鎖不全症ステージC

すでに心臓病の症状がみられる、または過去に症状がみられた。

かなり進行している状態です。

投薬治療を行い、ステージが進行しないようにする。

僧帽弁閉鎖不全症ステージD

通常の治療では進行が抑えられない状態。

安静にしていても症状がコントロールできない。

心臓病の末期の状態です。

症状が緩和するように、投薬を行う。

犬の心臓病「拡張型心筋症」

大型犬に多いのが、拡張型心筋症(かくちょうがたしんきんしょう)です。

メスよりオスに多いと言われています。

左心室の筋肉が薄くなり、収縮が悪くなる病気です。

血液が全身に送れなくなり、心臓に溜まり肥大化します。

拡張型心筋症の原因はよく分かっていませんが、遺伝性が強い病気です。

【罹りやすい犬】
グレートデン・ドーベルマン・ボクサー・コッカースパニエル

犬の心臓病「初期症状と末期症状」

僧帽弁閉鎖不全症・拡張型心筋症ともに同じような症状がでます。

どちらも、初期の段階では症状がほとんどみられません。

  • 疲れやすい(元気がない)
  • 咳(カッカというような)
  • 食欲がなくなる
  • あまり動きたがらない
  • 舌が紫色

【末期症状】

  • 咳がとまらない
  • 失神
  • 呼吸が苦しそう
  • やせる
  • お腹が膨れる

思い当たる症状がある場合は、すぐに動物病院で受診してください。

犬の心臓病 咳について

犬の心臓病の症状で「咳」が初期症状として出やすくなっています。

「コンコン」というより、喉にある異物を取る時のような「カッカッ」といった咳をします。

心臓病の初期症状では、水を飲んだり、興奮したりするとでますが、末期症状では朝や夜に出やすく、安静にしていても絶えず咳込むようになります。

犬の咳が止まらない!カッカッと咳き込む原因と対処法

犬の心臓病「薬と副作用」

犬の心臓病は、症状の緩和や進行を抑えるために薬を飲み続ける必要があります。

症状に合わせて投薬を行うので、薬が増えて不安に思う飼い主さんも多いですよね。

「処方された薬がどんな効果があるのか」

これを知っておけば安心です。

ACE阻害薬

僧帽弁閉鎖不全症で、初期から処方される薬です。

血管を拡張させる為に使用します。

末梢血管を拡張させることで、血圧を下げ、血流を良くする効果があり、心臓への負担を軽くします。

エースワーカー・フォルテコール・エナカルド・アピナック・バソトップなどがよく処方されます。

ACE阻害薬の副作用

効き目が強い薬ではないので、ほとんど副作用がありません。

安全性が高い薬です。

利尿薬

おしっこをたくさん出させる薬です。

おしっこをたくさん出すことで、体内に流れる水分(血液)の量を減らし、心臓から血液を送りやすくします。

心臓病の症状の1つである肺のうっ血(肺水腫)によく効く薬です。

ラシックス・ルプラックなどがよく処方されます。

利尿薬の副作用

効き目が強く、効きすぎると脱水を起こすことがあります。

獣医師によって、投薬量が決められます。

強心薬

心臓のポンプ機能を高める薬です。

一度に送る血液の量が増えるため、心臓を休ませることができ、心臓の負担が軽減します。

ピモベハート・ベトメディンなどがよく処方されます。

強心薬の副作用

昔からよく使われていたジゴキシンは効き目が強く副作用も多かったのですが、最近使われるピモベハート・ベトメディンはほとんどみられません。

血管拡張薬(ニトロール)

ACE阻害薬と同じ血管を拡張させる薬です。

ニトロールは、心臓の冠動脈や全身の血管を広げる動脈拡張剤薬になります。

血管拡張薬(ニトロール)の副作用

安全性が高く、重い副作用は、ほとんどみられません。

飲み始めにふらつきを起こすことがあります。

β遮断薬

不整脈を抑える薬です。

交感神経を落ち着かせるように自律神経に働きかけます。

アーチスト・テノーミンなどがよく処方されます。

β遮断薬の副作用

効きすぎないように、少量から処方。

副作用としてはふらつき・食欲がなくなることがあります。

薬は獣医師としっかり相談しよう副作用がほとんどない薬でも、合う・合わないがあります。
初めての薬を飲ませるときは、様子を見ることが大切です。
飼い主の自己判断で薬を中止してしまうのは、愛犬を危険にさらすことになります。
いつもと違う様子であれば、獣医師に伝えましょう。

犬の心臓病「食事(フード)」

心臓病の犬は、食欲不振・症状による疲労・療法食などの理由から体重が減少します。

体重が減少することで、心臓病の進行を早めることがあるので、食事の管理も重要です。

体重を減らさないためには、食べたくない物を食べさせるより、いつもの食べ慣れたフードを食べさせてた方がいいという考え方もあります。

獣医師と相談し、愛犬に合った食事療法を見つけましょう。

犬の心臓病での食事管理のポイント

高エネルギー密度
高嗜好
食欲の減少を防ぎ、体重が減らないようにします。
少量でもしっかり栄養がとれることが大事。
良質なタンパク質
栄養不足を防ぎ、体重が減らないようにします。
筋肉の衰えも防ぐ。
ナトリウム制限
ステージに合わせて、ナトリウムを制限。
心臓病の症状を緩和し、投薬の負担を軽くします。
獣医師と相談して、ナトリウム摂取量を決めましょう。
栄養素を補う
EPA・DHC:炎症性化学物質であるサイトカインの生産を抑える
タウリン・カルニチン:拡張型心筋症に有効で、心筋の収縮を改善
アルギニン:血管拡張作用
マグネシウム:不整脈や血圧を下げる