犬の健康診断で体重計に乗るボクサーの様子

犬は、私たち人間の4倍のスピードで年を取ります。

つまり、老いや病気の進行も4倍のスピードになるということです。

そのため、体調管理がとても大事になります。

病気の早期発見、早期治療に重要な役割を担うのが「犬の健康診断」です。

最近では、積極的に健康診断を行う病院が増えており、犬も人と同じように定期的に健康診断を行うことで、見た目では分からない体の中の状態を知ることができます。

犬に行う健康診断の頻度は、7歳未満で健康状態に問題がなければ年1回、7歳以上の高齢犬や持病があり定期検診が必要な場合は、半年に1回の頻度で受けるのが望ましいです。

健康診断を受ける場合は、事前に動物病院に問い合わせをし、予約を取りましょう。













犬の健康診断の内容

犬の健康診断は、各動物病院によって調べる内容や項目が違い、短時間で行う検査から、1日をかけて行う検査まで様々です。

どの病院も2~3つくらいの健康診断のプランがあり、愛犬の年齢や定期健診など条件にあったものを選ぶことができます。

主な健康診断の項目は、次のようになります。

  • 血液一般検査(CBC)
  • 血液生化学検査(腎臓・肝臓・血糖・脂質・膵臓・電解質など)
  • 尿検査
  • 便検査
  • レントゲン検査(胸部・腹部)
  • 超音波検査(胸部・腹部)
  • 心電図
  • 触診

この他、歯や目、関節など気になる部分の検査を基本の健康診断のオプションとしてに加えることもできます。

健康診断を受けるときの食事は?

ほとんどの動物病院では、朝一番で健康診断を行う所が多く、朝食を抜いてくるように指示されます。

健康診断を行う前日の夜ご飯を食べさせた後は絶食し、次の日(検査当日)の朝に検査するという流れです。

「水は飲んでもOK」という所もありますが、健康診断で調べる内容や項目によって絶水が必要なこともあるので、動物病院で確認してください。

すべての検査が終われば、食事を摂っても大丈夫です。



犬の健康診断の料金費用は?

基本的に、動物病院は自由診療になるので、各動物病院で料金が違います。

また、健康診断で行う項目によっても料金が変わってきます。

検査項目ごとの料金費用の目安は、次のようになります。

  • 血液一般検査(CBC):1,500~2,500円
  • 血液生化学検査(1項目分):500~700円
  • 尿検査:1,000~2,000円
  • 便検査:500~1,500円
  • レントゲン検査(1ヶ所):3,000~5,000円
  • 超音波検査:3,000~5,000円
  • 心電図:2,000~3,000円

動物病院によっては、あらかじめ健康診断の料金が決められている所もあります。

詳しくは、かかりつけの動物病院に問い合わせてください。

犬の健康診断はペット保険適用?ペット保険では、病状に関係ない血液検査や尿・便の検査などは保険対象外になります。
犬の健康診断もこれに該当するので、健康診断費はペット保険の適用しません。

血液検査(CBC)の健康診断内容

犬の健康診断で行われる血液検査は、血液一般検査(CBC)になります。

血液一般検査(CBC)とは、血液学検査とも呼ばれる主に血球の数を調べる検査のことです。

健康診断で行う血液一般検査(CBC)では、次のことがわかります。

  • 赤血球の数
  • 白血球の数
  • 血小板の数
  • ヘモグロビンの濃度
  • 貧血の有無
  • 出血の有無
  • 炎症の有無
  • 凝固因子が正常に働いているか

この他、顕微鏡で血球を観察することで、血球の形状に異常がないか、白血球の構成率もわかります。

動物病院によっては、血液一般検査(CBC)と合わせて、内臓の異常を調べる血液検査(生化学検査)を行うところもあります。

7歳以上の高齢犬は、肝臓・腎臓・心臓などに関係のある検査を行うと安心です。

犬の血液検査(生化学検査)基準値と結果で分かること

犬の血液一般検査の正常値と検査結果の見方

血液一般検査(CBC)で1回に必要な血液の量は、およそ0.5ml程くらい。

採血の場所は、前足か後ろ足の静脈で行います。

ほとんどの動物病院では、血液一般検査(CBC)に使う機器があるので、10~15分くらい検査結果がわかります。

検査機器がない場合や、生化学検査を一緒に行った場合、外部での検査になることがあるので、結果がわかるまで数日かかることもあります。

犬の血液一般検査(CBC)にも、人と同じように項目ごとに正常値(基準値)がありますが、病院や検査機関で違うので、だいたいの目安と考えてください。

検査を受けた時の犬の体調などでも変化するので、通常の愛犬の数値を知っておくことが大切です。

白血球数(WBC)

参考正常値:7000~19000/μL

【数値から疑われる主な病気】
高い:炎症・感染症・中毒
低い:骨髄の異常・パルボウイルス

WBCは、白血球の量を調べたものです。

白血球は骨髄で作られ、リンパ球・単球・好酸球・好中球などが合わさったものです。

ウイルスや細菌などの異物から体を守る働きがあり、体の中に炎症や感染などがあると、白血球の数が増えます。

一方、何らかの原因で白血球の数が減少すると、免疫力が弱まります。

白血球の数に変化がある場合は、血液末梢検査を行い、どの白血球が増減しているかを調べます。

リンパ球(LYM)

参考正常値:1000~4800/μL

【数値から疑われる主な病気】
高い:リンパ性白血病・慢性感染症
低い:ウイルス感染症・ストレス

LYMは、白血球の中のリンパ球を調べたものです。

白血球の成分の一つで、ウイルスや腫瘍などの異物を攻撃します。

過去に入ってきた異物を記憶することができ、すばやく対応して排除することが出来るので、免疫反応に重要な働きをしています。

Bリンパ球は、異物を排除するための抗体を作り、Tリンパ球がウイルスを攻撃します。

単球(MON)

参考正常値:100~1300/μL

【数値から疑われる主な病気】
高い:慢性炎症・溶血性疾患・クッシング症候群

MONは、白血球の中の単球を調べたものです。

骨髄から血液に入り、脾臓、肝臓、肺などに移り、マイクロファージに成長します。

単球の数が増えたり、減ったりしても、症状が現れることはありません。

単球は、体内に入ってきた異物の情報を、リンパ球に伝達する働きをします。

好酸球(EOS)

参考正常値:100~1200/μL

【数値から疑われる主な病気】
高い:アレルギー疾患・寄生虫疾患

EOSは、白血球の中の好酸球を調べたものです。

アレルギー、喘息、寄生虫感染などに重要な働きをします。

免疫機能もありますが(ある種類の寄生虫のみ)、アレルギー疾患では炎症の原因ともなり、特定の部位が炎症を起こすことがあります。

好中球(Neu)

参考正常値:3000~11500/μL

【数値から疑われる主な病気】
高い:炎症・急性細菌感染症

Neuは、白血球の中の好中球を調べたものです。

白血球の中で最も多い成分で、体内に侵入した異物を取り込み、殺菌する働きをします。

好中球が増えた場合、体内に細菌が侵入していると考えられます。

体調が悪かったり、怪我をしている場合も数値が高くなります。

RBC(赤血球)

参考正常値:630~880×104/μL

【数値から疑われる主な病気】
高い:脱水などによる血液濃縮・多血症・心臓疾患
低い:貧血・出血・腎疾患肝疾患

RBCは、赤血球の量を調べたものです。

赤血球は、酸素を全身に運ぶ働きをします。

数値が高い場合は、ストレスや脱水などが考えられ、低い場合は、体内で出血がしている可能性があります。

メス犬の場合は、生理時に数値が減少します。

Hb(ヘモグロビン濃度)

参考正常値:13.0~19.0g/dL

【数値から疑われる主な病気】
高い:脱水などによる血液濃縮
低い:貧血・出血・腎疾患・肝疾患

Hbは、ヘモグロビンの量を調べたものです。

ヘモグロビンは、肺から酸素を受け取って全身に送り、二酸化炭素を肺に運ぶ働きをします。

Hbは、酸素を運搬するヘモグロビンの血液中の濃度を調べてたもので、不足すると貧血になります。

HCT(ヘマクリット血球容積)

参考正常値:37~ 50%

【数値から疑われる主な病気】
高い:脱水などによる血液濃縮
低い:貧血・出血・造血機能低下

HCTは、血液中に赤血球の量を調べたものです。

HCTの数値が高ければ、血液の濃度が高いということになり、低ければ、血液が薄いということになります。

MCV(平均血球容積)

参考正常値:59~74fL

【数値から疑われる主な病気】
高い:出血・溶血・たまねぎ中毒
低い:慢性出血・貧血

MCVは、複数の赤血球容積から、赤血球1個の平均の大きさを調べたものです。

MCH・MCHCとセットで調べます。

MCH(平均赤血球ヘモグロビン量)

参考正常値:20.1~24.6pg

【数値から疑われる主な病気】
高い:ビタミンB1欠乏症
低い:慢性出血・貧血

MCHは、赤血球1個に含まれるヘモグロビンの平均量を調べたものです。

MCV・MCHCとセットで調べます。

MCHC(平均赤血球ヘモグロビン濃度)

参考正常値:32~35%

[数値から疑われる主な病気]
高い:脱水
低い:貧血

MCHCは、赤血球1個に含まれるヘモグロビン濃度の平均量を調べたものです。

MCV・MCHとセットで調べます。

PLT(血小板)

参考正常値:21.0~60.0×104/μL

【数値から疑われる主な病気】
高い:免疫疾患・脱水・慢性炎症
低い:急性出血・骨髄疾患・肝疾患・重度感染症

PLT(血小板)の量を調べたものです。

PLT(血小板)は、血を止める働きをします。

少ないと血が止まらなくなり、多すぎると血栓ができやすくなります。

レントゲン検査の健康診断内容

レントゲン検査は、X線検査とも呼ばれます。

X線を通すことで、内臓の大きさや位置、形などを見て、異常がないかを確認します。

犬の健康診断では、主に胸部と腹部を仰向けと側面の2パターンの撮影を行います。

健康診断で行うレントゲン検査では、次のことがわかります。

  • 心臓・肝臓・腎臓の大きさや、変形の有無
  • 結石の有無(腎臓・膀胱)
  • 肺炎や気管支などの呼吸器疾患の有無
  • 骨の異常の有無

超音波検査の健康診断内容

超音波検査は、レントゲン検査では分かりにくい内臓の内部を確認することができます。

犬の健康診断では、主に胸部と腹部の超音波検査を行います。

健康診断で行う超音波検査では、次のことがわかります。

  • 心臓の弁の動きや血流の状態
  • 肝臓の胆石の有無
  • 腎臓・膀胱の結石の有無
  • 胃や腸の働き
  • 腫瘍の有無

尿検査の健康診断内容

犬も人と同じように、尿を検査することで、たくさんのことがわかります。

健康診断で検査する尿は、検査当日にしたものを持っていきます。

なるべく動物病院に行く直前の尿がいいですが(4時間前くらいなら問題ない)、時間が空いてしまう場合は冷蔵庫で冷やしておきましょう。

健康診断で行う尿検査では、次のことがわかります。

  • 膀胱炎などの炎症の有無
  • 細菌感染の有無
  • 肝臓や血液の病気にかかっていないか
  • 腎臓の病気にかかっていないか
  • 酸とアルカリのバランス
  • 尿の濃さ

便検査の健康診断内容

犬の便検査は、糞便検査とも言われ、便を直接顕微鏡で観察する「直接法」と、飽和食塩水で便を溶かし比重差を利用して検査する「浮遊法」の2種類あります。

健康診断で行う便検査では、次のことがわかります。

  • 寄生虫の有無
  • ウイルス性の感染症にかかっていないか
  • 内臓出血の有無
  • 消化不良を起こしていないか
  • 細菌の有無

健康診断で検査する犬の便は、検査当日にしたものを持っていきます。

量は、人の親指くらいあれば大丈夫です。

心電図の健康診断内容

心電図は、心臓の検査のために行います。

健康診断では、7歳以上の高齢犬は受けておくと安心な検査です。

7歳未満であっても、心臓病になりやすい犬種は、定期的に検査しておきましょう。

【犬の心臓病】初期症状は咳?薬や食事管理の方法など

健康診断で行う心電図では、次のことがわかります。

  • 不整脈の有無
  • 波形が正常かどうか