愛犬の妊娠は、飼い主さんにとっても喜ばしいものです。
でも、喜んでばかりではいられません。
犬の妊娠期間は、排卵日によって多少前後しますが、交配した日から約63日(9週間)です。
妊娠期間がとても短く、妊娠が分かってから、あっという間に出産になります。
犬も人と同じで妊娠中は、精神的に不安になったりと何かとトラブルを起こしがちです。
愛犬が安心して出産を迎えられるように、飼い主さんはしっかりお世話してあげましょう。
目次
犬の妊娠の見分け方
犬の妊娠は、交配した日を基準にして妊娠周期を数えていきます。
そのため、オスとの交配の日にちは、必ず記録しておきましょう。
交配した日を1日とし、犬の妊娠がしたと確認できるのは、交配後30日程度経ってからです。
それまでは、愛犬をしっかり観察して、妊娠の兆候がないかを確認してください。
犬の妊娠の兆候(妊娠初期症状)
犬は、交配から着床するまでに約3週間かかります。
個体差がありますが、犬が妊娠している場合は、3週目くらいから妊娠初期症状が見え始めます。
妊娠の兆候には、次のような症状が見られます。
- 食欲がなくなる
- いつものフードを食べない
- おう吐
- おっぱいが膨らむ
- おっぱいが赤くなる
- ソワソワ落ち着かない
- 体重が増える
妊娠の兆候には、個体差があり、すべての犬に症状が出るわけではありません。
人と同じつわりのような症状が出る犬もおり、その状態が約1週間くらい続きます。
妊娠3週目頃に、お腹の中の胎児の心音を確認することができるようになり、はっきりと妊娠が確認できるのは、妊娠4週目以降です。
妊娠の兆候と同じように、おっぱいが膨れたり、母乳がでる事も。
妊娠か偽妊娠かを調べるには、交配後30日待ってから、動物病院で検査してもらいましょう。
犬の妊娠初期で注意すること
交配してから着床するまでの妊娠初期は、妊娠の兆候も見られるようなり、体も精神的にも不安定な時期になります。
流産しやすい時期でもあるので、なるべく安静にしておきましょう。
段の上り下りや、ピョンピョン跳ねたり、ジャンプする行為などの激しい動き、シャンプーは控えてください。
犬の妊娠初期の食事
犬の妊娠初期の食事は、今まで食べていたドッグフードから替える必要はありません。
ドッグフードの量も通常と同じで大丈夫です。
妊娠初期は、食欲が低下し、ドッグフードなどを食べなくなる事がよくあります。
そういう場合は、犬が好きな物を加えてあげたり、食事を数回に分けてあげましょう。
普段はドライフードをあげているなら、ウェットフード(缶詰)を少し足してあげるのも効果的です。
犬の妊娠中期(4~6週)
交配から4週間で妊娠中期になり、安定期に入ります。
妊娠4週目には、お腹の中の胎児は2~3cmくらいに育ち、超音波検査(エコー)で赤ちゃんを確認できます。
妊娠5週目には乳腺が張り、妊娠6週目に入る頃から、少しずつお腹が大きくなってきます。
犬の妊娠中期で注意すること
妊娠中期になれば、軽い運動やシャンプーをしても大丈夫です。
個体差はありますが、安定期に入っても精神的に不安定な状態が続く犬も多く、寝ている時間が多くなったり、元気がなくなったりします。
その他には、甘えるようになり、飼い主さんから離れないという犬もいるようです。
嫌なことは無理強いせずに、そっと見守ってあげましょう。
犬の妊娠中期の食事
妊娠5週目くらいから、つわりのような症状で落ちていた食欲が戻ってきます。
この時期から、お腹に胎児にも栄養が必要になるので、妊娠用や成長期用(子犬用)の高カロリーのドッグフードへ替えていきます。
ドッグフードは、一気に替えると食べなかったり、お腹を壊したりするので、通常のフードに少量ずつ混ぜて量を増やしていきましょう。
決まったドッグフードしか食べない場合は、いつものフードの量を20~30%くらい増量してください。
ただし、もともと肥満気味の犬はドッグフードをやり過ぎると、難産になり易くなるので注意が必要です。
どのくらいドッグフードの量を増やせばいいのか分からない場合は、ドッグフードの量を計算してみましょう。
妊娠したからといって、サプリで過度に栄養を補う必要はありません。
特に、カルシウムやビタミンの摂取が必要と考えられていますが、しっかり食事が摂れていればドッグフードだけで大丈夫です。
過剰な摂取は、かえって体に負担をかけてしまいます。
気になるのであれば、サプリではなく、魚や野菜をドッグフードに足すようにしてください。
※妊娠中期に食事が十分に摂れていない場合は、獣医師に相談してみましょう。
犬の妊娠後期(7~9週)
妊娠後期に入るとお腹がどんどん大きくなり、胎動を感じるようになります。
妊娠8週目(だいたい55日前後)に入ったら、出産に向けてレントゲンで「胎児の数」「大きさ」「母犬の骨盤の状態」を確認します。
この時に撮るレントゲンは、より正確に診断するため、上下・左右の方向で2枚撮るのが基本です。
レントゲンを撮る時期は、獣医師によって違いますが、だいたい妊娠55~58日くらい。
あまり早すぎると胎児の骨がしっかり出来上がっておらず、正確な頭数を確認できません。
また、出産予定日を過ぎるようであれば、再度確認の為にレントゲンを撮ります。
「胎児が大きすぎる」など難産が予想される場合は、帝王切開での出産になります。
犬の妊娠中にレントゲンを撮っても大丈夫?
妊娠中にレントゲンを撮ることで、胎児への影響を不安に思う飼い主さんもいるのではないでしょうか?
結論から言うと、妊娠後期に撮るレントゲンが、お腹の中の赤ちゃんに影響を与えることは、まずありません。
犬は、安産のイメージがありますが、実際には難産になりやすく、帝王切開での出産が多くあります。
人の場合は、超音波検査で確認できますが、犬の場合は、1度の妊娠で複数の胎児を身ごもるため、狭い母犬のお腹の中で胎児が重なっているので、超音波検査では正確な頭数を確認することができません。
レントゲンであれば、「胎児の数」「母犬の産道を通れる大きさなのか」がはっきりと確認でき、事前に出産の方法を決めることができるのです。
こういった理由で、妊娠後期で撮るレントゲンは、母子ともに安全に出産するために、とても重要なものになります。
犬の妊娠後期に注意すること
お腹が大きいので、段差や床などでお腹を擦らないように注意してください。
特に体の小さい小型犬は、注意が必要です。
長毛種の場合は、出産で汚れてもすぐには洗えないので、妊娠7週目頃にトリミングに行き、短めにカットしておきましょう。
短毛種も、お腹の毛を刈っておくと、授乳がスムーズに出来ます。
自宅出産する場合は、出産するための産箱や出産に必要な道具などを揃えておきましょう。
犬の妊娠後期の食事
妊娠後期になると、お腹が大きくなったせいで胃を圧迫し、一度にたくさんのご飯を食べれなくなります。
1日に3~4回に分けてあげてください。
この時期は、ご飯をあまり食べなくなる犬もいます。
高カロリーで消化の良い物をあげるように心がけましょう。
犬の妊娠適齢期はいつ?
メス犬は、初めての発情を迎えると、いつでも妊娠ができるようになります。
小型犬は、成熟度が高いので早ければ6ヶ月、大型犬の場合は、遅くても12ヶ月頃に発情を迎えます。
初めての発情での妊娠は、体や精神的にも未成熟なので、2回目以降の発情での妊娠がいいそうです。
犬の妊娠適齢期は、2~4歳くらいが目安になります。
犬の妊娠はいつまでOK?
何も異常がなく通常の妊娠・出産ができるのは、だいたい5歳くらいまでと言われています。
発情が終わらない限り妊娠の可能性はありますが、5歳を過ぎると、妊娠自体が難しくなり、出産にも難産や死産などのリスクを伴うようになります。
また、避妊手術を考えているなら高齢になる前に受けた方がいいので、5歳までの妊娠というのが1つの目安となっているようです。
出産後、新たな妊娠を望まないなら、避妊手術をうけましょう。
高齢になると、メス犬特有の病気にかかる可能性が高くなります。
特に、子宮蓄膿症は重度になると命に関わる病気なので注意が必要です。