犬のクッシング症候群のイメージ

あまり知られていませんが、犬のクッシング症候群は、とても罹患が多い病気のひとつです。

8歳以上の高齢犬に多く見られ、進行すると様々な合併症を併発します。

そして最悪の場合は、死に至る病気です。













クッシング症候群は高齢犬が罹り易い病気

クッシング症候群は、予防ができないのでどの犬でも罹る可能性があります。

人や猫にはあまり見られず、犬が圧倒的に多く『プードル・ダックスフンド・ビーグル・ボストンテリア・ボクサー』が罹り易いです。

犬のクッシング症候群の症状

クッシング症候群では、次のような症状がでます。

  • 多飲多尿
  • 食欲が増す
  • お腹が膨れる
  • 運動など関係なく息が荒い
  • 左右対称の脱毛や毛が薄くなる(痒みなし)
  • 湿疹ができる
  • ふらつく

お腹のふくらみや脱毛は、肥満や高齢によるものと思いがちですが、複数当てはまる場合はクッシング症候群の可能性があります。



犬クッシング症候群の原因

クッシング症候群は、副腎皮質機能亢進症とも言います。

副腎から出る副腎皮質ホルモンが過剰に分泌される事によって、様々な病気を引き起こします。

主な原因は3つです。

下垂体性クッシング

脳にある下垂体に腫瘍ができ、副腎から刺激ホルモン(ACTH)が大量に出てしまい、副腎皮質ホルモンが過剰に生成されます。

クッシング症候群の半数以上が、下垂体性クッシングです。

小型犬に多く見られます。

副腎腫瘍性クッシング

副腎に腫瘍ができた為、ホルモンが過剰に生成されます。

クッシング症候群のうち、全体の2割程度が副腎腫瘍性クッシングになります。

大型犬に多く、雄より雌の方が発症しやすいです。

高齢犬に多く見られます。

医原性クッシング

炎症や腫瘍、アレルギーなどの他の病気の治療で使用された薬が原因になります。

長期間使用する事で医原性クッシングを発症する事があり、内服薬に限らず外用薬でも起こります。

特にアレルギー疾患の治療で、副腎皮質ホルモンを投与されていた場合に多いです。

犬クッシング症候群の検査

クッシング症候群の診断は、血液検査・尿検査・レントゲン・超音波検査・ホルモン検査を行い、総合的に判断していきます。

下垂体クッシングの場合は、脳のCT検査やMRI検査を行う事があります。

血液検査の内容

  • 好中球の上昇
  • リンパ球の減少
  •  好酸球の減少
  • ALP(アルカリフォスファターゼ)の上昇
  • ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)の上昇
  • コレルテロールの上昇
  • 血糖値の上昇
  • クレアチニンの減少

検査料金は、7,000円~10,000円くらいかかります。

尿検査の内容

  • クレアチニン・コルチゾールの比重(UCCR)
  • 尿タンパク
  • 尿路感染の有無

UCCRは、尿の中のクレアチニンの濃度・コルチゾールの濃度の比を測定するして、尿の中に排泄される コルチゾールの総量を推定する検査です。

朝一番の尿で検査を行います。

UCCRの基準値⇒ 1.35×10 ⁻⁵未満です。

UCCR検査料金は、4,000円くらいかかります。

レントゲン・超音波検査の内容

クッシング症候群の場合、レントゲン・超音波診断はとても重要です。

  • 膀胱の大きさ
  • 肝臓の大きさ
  • 副腎の大きさ 正常サイズは、7.4mm以下といわれています
  • 石灰沈着

より詳しく検査する為、脳のCT検査やMRI検査を行う事があります。

レントゲン・超音波料金は、4,000円~6,000円くらいかかります。

ホルモン検査の内容

  • ACTH刺激試験
  • 低用量デキサメサゾン抑制試験(LDSD)
ACTH刺激試験

副腎皮質刺激ホルモンを注射することで、副腎を刺激し、コルチゾール(ホルモン)の変化を見ます。

採血 → 副腎皮質刺激ホルモンを注射後、約1時間をおく → もう一度採血

コルチゾール投与後、6~17μg/mlであれば正常と判断されます。

18~24μg/mlであれば境界域、24μg/ml以上であればクッシング症候群の可能性が高いです。

検査料金は、8,000円~12,000円くらいかかります。

低用量デキサメサゾン抑制試験

デキサメサゾンを0.01mg/kg注射し、コルチゾールの変化を見ます。

デキサメサゾンを注射前に採血 → デキサメサゾンを注射後4時間して採血 → デキサメサゾンを注射後8時間して、採血

8時間後のコルチゾール値が1.4μg/dl以下であれば、クッシング症候群の可能性が高いです。

検査料金は、16,000円~18,000円くらいかかります。

犬クッシング症候群の治療法

治療は、種類によって変わります。

治療法によっては、かなり高額な治療費が必要になるで、獣医師とよく相談してください。

下垂体性クッシングの治療

下垂体性クッシングの場合は、3つの治療法があります。

内科療法

下垂体性クッシングは、内科療法が一般的で、投薬によって治療を行います。

使用される薬は、ホルモンの合成を抑える薬剤であるトリロスタン(アドレスタン)が一般的です。

すぐに効果があらわれ、副作用が少ない薬になります。

心臓・肝臓・腎臓・すい臓に異常がある場合や貧血の場合は、この薬は使用できません。

トリロスタン(アドレスタン)は、1粒400円~700円くらいです。

外科療法

下垂体にある腫瘍を取り除く為、外科的手術を行います。

手術自体がとても難しく、積極的に行われることはありません。

放射線治療

下垂体にある腫瘍に放射線を当てて、小さくする治療です。

効果的な治療なのですが、放射線装置がある動物病院が少なく、費用も高額になります。

副腎腫瘍性クッシングの治療

副腎腫瘍性クッシングの場合、2つの治療法があります。

外科療法

副腎腫瘍性クッシングは、腫瘍を取り除く外科療法が一般的です。

転移していたり、腫瘍が出来ている場所。犬の年齢によっては手術が難しいこともあります。

内科療法

手術ができない時は、投薬によって治療を行います。

使用される薬は、下垂体クッシングで使用される物と同じトリロスタン(アドレスタン)が一般的です。

医原性クッシングの治療

医原性クッシングの場合は、原因となっている薬を徐々に減らしていきます。

少しずつ減らしながら、最終的には使用しないようにすれば完治できます。

犬クッシング症候群の余命(寿命)

クッシング症候群は、治療を行っていても様々な合併症を併発するおそれがあり、とても難しい病気です。(医原性クッシングを除く)

しかし適切な治療を受ければ、寿命を全うすることも可能です。

下垂体クッシングの予後

腫瘍の大きさが小さく、薬の効きが良好であれば、3年生存率60~70%と言われています。

腫瘍の大きさが大きい場合は、2年以内に脳神経症状を発症する可能性が高いです。

副腎腫瘍性クッシングの予後

腫瘍を除去後、転移がなければ寿命を全うすることが可能です。

悪性や転移が見られる場合、寿命を全うすることが難しいでしょう。

犬クッシング症候群の食事

クッシング症候群では、食事に気を付ける必要があります。

特別な療法食はないのですが、代謝の変化によって、体力の消耗が激しいので質のいい高タンパクのドッグフードを与えるようにしましょう。

お腹の膨らみは脂肪なので、なるべく低脂肪で消化が良い物を選んでください。

犬クッシング症候群におすすめなドッグフード