犬は様々な理由で「咳」をします。
犬の咳は、呼吸器に何らかの異常があるというサインです。
咳は「風邪」が原因なだけではありません。
進行性の病気の可能性もあるので、早めに動物病院での診察しましょう。
目次
犬が咳をする原因は?
犬が咳をする原因は、主に4つの病気です。
犬の咳には、乾いた感じの咳と、湿った重い咳があります。
一般的に重病度の高いと言われるのは、湿った重い咳の方です。
飼い主さんは、「どんな風に咳をするのか」「いつ出るのか」などを把握しておくことが大事です。
どういう咳なのか説明するのは難しいので、携帯で動画を撮っておくとスムーズに説明できます。
犬の咳原因その1「ケンネルコフ」
ケンネルコフとは、ウイルスや細菌の感染によっておきる病気です。
正式名を「伝染性気管支炎」といいます。
人の風邪と同じような症状が出ることがら「犬風邪」とも呼ばれます。
特に、子犬や高齢犬、免疫力が低くなっている犬が罹りやすいので注意が必要です。
犬パラインフルエンザ・犬アデノウイルス2型・気管支敗血症菌などが、1種~数種類感染することでおきます。
飛沫感染・接触感染するため、集団で生活するペットショップや多頭飼いの場所では、次々に伝染することが多い。
犬のケンネルコフの症状
ケンネルコフは、感染したウイルス・細菌の数によって症状の重さが変わってきます。
ケンネルコフの咳の症状は、運動や興奮した時や、気温と湿度の急激な変化がある時などにあらわれます。
発作的に起こる咳で「ゲーゲー」と「えずく」ように吐くこともあります。
呼吸器疾患の持病がある犬は、症状が悪化することがあるので、すぐに動物病院を受診しましょう。
【単独感染】
- 咳(くしゃみのような)
- 発熱
単独のウイルス・最近に感染した場合、症状が軽く、ほとんどが1週間~10日程度で回復します。
【複数感染】
- 咳(くしゃみのような)
- 発熱(高熱)
- 食欲がなくなる
- ぐったりする
- 鼻水(膿のような)
重症化すると、肺炎をおこして死に至ることもあります。
犬のケンネルコフの治療薬
重症化していなければ、ほとんどのケンネルコフは自然治癒します。
1週間程度は、運動を避けて安静にし、たっぷり栄養を与えるようにしてください。
【治療方法】
ケンネルコフは、症状に合わせて治療していきます。
- 咳:鎮咳剤・気管支拡張剤の投与
- 気管支(喉の炎症):抗生剤の投与
- 体力回復:点滴・栄養剤の投与
犬のケンネルコフの予防
定期的にワクチンを接種することで、感染を防ぐことができます。
罹りやすい子犬だけでなく、高齢犬もワクチン接種をしておきましょう。
飼育環境を清潔にして、室温・湿度を適温に保ちましょう。
(室温22~25℃、湿度50~60%)
特に、乾燥しやすい冬場や冷房をかける夏場の注意が必要です。
犬の咳の原因その2「気管虚脱」
気管虚脱(きかんきょだつ)は、何らかの原因で肺へ空気を送るための気管が潰れてしまう病気です。
激しく息をすると気管が潰れ、少しの刺激で咳き込みます。
7歳以上の小型犬に多い(マルチーズ・トイプードル・チワワなど)ですが、柴犬のような中型犬、ゴールデンレトリーバーのような大型犬も罹る事があります。
気管虚脱は、原因がはっきり分かっていないため、予防するのが難しいです。
気管虚脱の症状
気管虚脱は、初期の段階ではほとんど症状がないので、気がつかないうちに進行しているケースが多いです。
主な症状は「咳」なのですが、病状の進行によって咳の仕方が変わります。
最初は、乾いた空咳(ケホケホ)、次は喉に引っかかるような咳(カッカッ)という感じです。
呼吸の音も「ブーブー」から、「ガーガー」とひきつけるような音に変わります。
- 呼吸が荒い(ゼーゼーと息があがる)
- 咳
- おう吐
- 豚の鳴き声のような呼吸音(ブーブー)
【末期】
- 失神
- 舌が紫色(チアノーゼ)
- アヒルの鳴き声のような呼吸音(ガーガー)
- 呼吸困難
気管虚脱は末期になると、安静にしている状態でも咳の発作が起き、絶えず苦しそうに呼吸をするようになります。
首を上げていないと苦しいので、お座りした状態であえぐように呼吸します。
最悪の場合は、呼吸困難に陥り、死に至ることもあるので注意が必要です。
気管虚脱は進行する病気なので、あてはまる症状が見られたら、すぐに動物病院を受診しましょう。
気管虚脱の治療
気管虚脱は、内科・外科の2パターンの治療方法があります。
【内科治療】
内科治療は、根治が難しく投薬を行い、症状を緩和させる処置となります。
気管支拡張薬や鎮咳薬を使って、気管支の末端を広げて、咳を抑え、呼吸が楽にします。
【外科治療】
気管の内側にステントを入れる方法などがあります。
気管虚脱の予防
気管虚脱は、原因がはっきり分かっていないため、予防するのが難しいですが、症状を出にくくすることができます。
一番のポイントは、気管に負担をかけない生活をすることです。
首回りを楽にするため、首輪を外し、散歩には面積が広く圧が分散されるジャケットタイプのハーネスに替えてください。
その他、室温・湿度に注意しましょう。
暑すぎるとパンティング(ハァハァとする)が多くなり、呼吸がしにくくなります。
犬のフィラリア症
蚊がフィラリアを媒介によって、心臓や肺動脈に寄生する病気です。
血液の循環が悪くなり、心臓に負担をかけます。
最悪の場合は、死に至る怖い病気です。
犬のフィラリア症の症状
次のようなことが症状がみられたら、フィラリア症のおそれがあります。
- 咳
- 呼吸が荒い
- ぐったりしている
- お腹が膨れる(腹水)
フィラリアが多数寄生している場合は、「血尿」「呼吸困難」「失神」もみられます。
犬のフィラリア症の予防
犬のフィラリア症は、蚊が出る時期1ヶ月後から、蚊が出なくなる1ヶ月後まで月1回予防薬や注射などで予防することができます。
毎年受ける必要がありますが、100%予防できるので、必ず予防処置を行うようにしましょう。
犬の心臓病
咳が関係する病気の中で、とても深刻なのが心臓病です。
成犬の10~15%、高齢犬では30%以上が心臓病を患っていると言われています。
原因が分からない物が多く、予防するのが難しい病気です。
早期発見することで、進行を遅らせることが出来るので、定期的な検診を行いましょう。
犬の心臓病の症状
初期症状はほとんどなく、症状があらわれた時にはかなり進行していることが多い。
- 咳(カッカッ)(カハッ)
- 元気がない
- 食欲がない
- 舌が紫色(チアノーゼ)
【末期症状】
- 咳が止まらない
- 失神
- 呼吸が荒い
- 痩せる
- お腹が膨れる(腹水)
犬の心臓病の主な症状である「咳」は、「ケホケホ・コンコン」というより、喉にある異物を取る時のような「カッカ」といった咳です。
犬の心臓病の治療
- ACE阻害薬
- 利尿剤
- 強心薬
- 血管拡張薬
- β遮断薬
これらの薬を使って、病状の進行を抑え、症状の緩和を行います。
その他、食事管理も必要です。